いよいよ今週末からゴールデンウィークが始まります。日頃家族と離れて単身赴任をしている方も、この時期はゆっくりご家族の元に戻られるのではないでしょうか。
今回はそんな単身赴任の場合の労災の取り扱いについて、書いていきたいと思います。
労災には業務中におけるケガなどに対して補償する「業務災害」と通勤におけるケガなどに対して補償する「通勤災害」があります。
その通勤災害ですが、労災保険法では「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」と定めています。
ここで就業に関しとは、勤務に就くため、または勤務を終えたことによって行われる移動をさします。また住居とは、日常生活をしている家屋等の場所のほか、単身赴任者の場合であれば家族が住む場所も該当します。
そのため単身赴任者の場合は、赴任先の住居と勤務場所との往復についてはもちろんですが、赴任先住居と家族の住む帰省先住居との間の移動も通勤に含まれるとされています。
よくある例だとは思いますが、単身赴任者が会社から一旦赴任先の住居に戻り、荷物を持って帰省先に移動することがあるでしょう。さらに帰省先から一旦赴任先の住居に戻り、そこから会社に行くこともあるでしょう。
しかしここで注意が必要となります。
実は帰省先から赴任先の住居に移動する場合の通勤災害は、「勤務に就く当日又は前日に行われた場合は、就業との関連性を認めて差し支えない。ただし、前々日以前に行われた場合は、交通機関の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。」とされてるのです。
同様に赴任先の住居から帰省先に移動する場合は、「業務に従事した当日又はその翌日に行われた場合は、就業との関連性を認めて差し支えない。ただし、翌々日以後に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる。」とされています。
分かりやすく具体例を上げると、月曜日からの勤務に備え、日曜日に帰省先から赴任先に移動する場合は通勤災害とされますが、月曜日からの勤務に備え帰省先に帰っていたけれど、早めに戻って赴任先でも休むために土曜日に帰省先から赴任先に移動する場合は、通勤災害とは取り扱わないということです。
つまり、連休明けの出社に備えて前もって帰省先から戻る場合は、労災による通勤災害とは認められないケースとなります。
ゴールデンウィークに家族の元に戻られる単身赴任者のみなさんは、ご注意ください。