年俸制でも割増賃金は必要なのか

年俸制を導入すると残業代の支払いは、不要という考えは間違っています。年俸制というのは、賃金の支払い方を1年単位で決めましょう。という支払い方をどのようにするかについて、約束をしたまでに過ぎません。

年俸制の割増賃金(残業代)

年俸制であっても管理監督者などでない限り、時間外の割増賃金(残業代)をはじめ、休日出勤をすれば、割増賃金の支払いが必要となります。

年俸制の割増賃金の考え方

年俸制でも、法定労働時間を超えて働いた場合には、割増賃金の支払いが必要となります。それでは、「年俸制に割増賃金が含まれている」とするためにはどうすればよいのでしょうか。

年俸額を決定する際に、あらかじめ年俸額に時間外労働等の割増賃金が含まれていることを明らかにします。さらに割増賃金相当部分と通常の賃金が区別できるように定めます。もちろん割増賃金については、時間外労働相当以上に定める必要があります。

時間外労働相当を割増賃金として決める訳ですから、実際の時間外労働があらかじめ決められた時間を上回る場合は、別途時間外労働の割増手当を支払わなければなりません。

これらを定めるうえでも「労働契約書」というカタチで書面を作成する必要があることが分かります

年俸制の割増賃金の計算例

年俸額を420万円、年間時間外労働時間数360時間(30時間/月)、一ヶ月の平均所定労働時間を160時間とした場合

  • 30時間の時間外分を計算
    30×1.25=37.5時間に相当
  • 時間単価の計算
    350,000÷(160+37.5時間)=1,772.15円
  • 基本給の計算
    1,772.15×160時間=283,544円(基本月例給)
  • 時間外割増賃金の計算
    1,772.15×1.25×30時間=66,455.62(切上げ)66,456円

この場合年俸額を1ヵ月あたり給与とした場合、「基本給」が283,544円となり、「残業代」が66,456円となります。

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