2つの労働時間の関係
労働時間には、法定労働時間と所定労働時間の2つの労働時間があります。お話を伺うと、これらを混同されている方もいらっしゃいます。まぎらわしい2つの労働時間の違いは何でしょうか。
法定労働時間とは
法定労働時間とは、文字どおり法律で定められた労働時間のことです。つまり労働基準法に定められた時間のことを指しています。労働基準法で定めている時間ですので、この時間を超えて労働させた場合には、法律違反として、罰則もある訳です。
●労働基準法第32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
②使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない。
所定労働時間とは
一方所定労働時間とは、各所(=会社)で定められた労働時間を指します。会社で自由に定めることができるため所定労働時間は、何時間でも構いません。ただし、法律で上限だけ決められています。
そのため上限さえ守れば、例えば1日6時間、週5日勤務の週30時間を所定労働時間と決めることも出来ます。
2つの労働時間の差による問題
上記の一日6時間、週30時間の所定労働時間の会社では、残業があった場合の取扱いはどうなるのでしょうか。
一日について比べてみると、法律では、8時間まで働かせることができます。一方会社では、労働時間は6時間と決めています。この差の2時間については、労働基準法上では、働かせる(残業させる)ことはできます。
しかし、会社との約束を延長して働かせるため残業となります。問題となるのは、この残業における残業代の取扱いです。
法定労働時間内でも残業代の支払い
法定労働時間内2時間の残業については、労働基準法の時間外割増賃金は該当しませんが、残業となるため残業代の支払いは必要になってしまいます。そのため通常支払われている賃金の2時間分を支払わなければなりません。
所定労働時間の決め方
所定労働時間と法定労働時間に差があると、法律の範囲なのに残業代が発生してしまいます。このため、所定労働時間を決める際には、労働基準法で定められた法律の限度いっぱいの一日8時間、一週40時間と定める方が余分な残業代の支払いを抑えるためにお勧めです。