実際には残業をしているのにかかわらず、残業代を法律通りに全て支払っていない会社は多いように思います。そんな法律通りに残業代を支払っていては会社が潰れてしまうよ、という声も聞こえてきそうですが。
ところが法律通りに残業代を支払っていない場合には、本当に会社が潰れてしまうようなことが起こる可能性があります。
例えば時給1000円の社員が1日2時間の残業を月に20日間していた場合を考えてみます。
この場合の割増賃金は1000円の25%となりますから1250円です。これを20日間となると5万円になります。未払い賃金については過去2年まで遡って請求することができますから、2年間で120万円です。
社員が10名の会社であれば1200万円となります。また話がこじれて裁判などになった場合には付加金というのが発生します。
裁判所は、第20条(解雇の予告)、第26条(休業手当)若しくは第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)の規定に違反した使用者又は第39条第6項(有給休暇の賃金)の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命ずることができる。(労働基準法第114条)
このように付加金とは労働基準法で定められている罰金のような制度です。支払い額についても未払い金額と同額を支払わなければならないとされています。つまり未払い残業代の2倍の額を支払わなければならないということです。
「試用期間中だから残業代は支払わなくてもいいだろう」、「うちの会社はこれまでも残業代を支払ったことがないから」と言ったような理由で残業代を支払っていないことに対しては、これまでたまたま運良く残業代の請求を受けることなく来られただけかも知れません。
あくまでも残業代の支払いしたくないというのであれば、日々の業務の見直しや残業をさせないような仕組みを考える必要があるでしょう。