労働慣行ってご存知でしょうか。
会社の中で就業規則などに特に取り決めをしていないけれども事実上の制度や取り扱いとなっており、それが労使間において当然の事実として認められている一定の事実を言います。
例をあげてみると就業規則にパート社員の退職金の記載はないけれど、これまでパート社員の人数も少なかったこともあり退職金がわりに慰労金として支給していた。などが当てはまります。
このように就業規則や労働契約書などに書面において定めがない場合には、パート社員に対する退職金支払いのリスクが高くなります。
これまで過去のパート社員に対して慰労金として退職金を支払ってきたけど、今回退職するパート社員には支払いをしたくない。というようなケースもでてくることがあるでしょう。
しかし、もともと明文化されていないものですから、水掛け論になる可能性も高く退職金の支払いを求めて裁判を起こされる可能性もあります。
労働慣行の成立要件としては、ある事実の取り扱いが反復して継続されており、その取り扱いを一般従業員および使用者が認識しており、それを当然のこととして承認して従っており、これまでその取り扱いに異議を唱えられず定着し、事実上のルール化していることとされています。
そのため過去の慣行によらない取り扱いをしたときは、その理由によっては権利濫用とされることがあります。
たかが、口約束かもしれませんが繰り返すことによって労働慣行として成立することもありますから、ルールについてはきちんと書面に残すようにしたいものです。