労働時間

残業80時間の会社が対象に!長時間労働の抑制となるか

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政府は、長時間労働に歯止めをかけるため長時間の残業がある企業に対して指導を強化するようです。

現行では1か月における残業時間が、100時間に達した企業に対して労働基準監督署が立ち入り調査を行なっているものを、月80時間まで引き下げる見込みです。

長時間労働の取り締まりに過重労働撲滅特別対策班「かとく」が動きだした

立ち入り調査は1か月80時間を超える残業をしている従業員が1人でもいると疑われる企業を対象となりますが、労働基準監督署の監督官の数が限られるため、従業員による通報などにより悪質だと判断される企業が中心となるようです。

残業に関する規制

労働時間については、労働基準法に定められていますが1日8時間、週40時間を超える労働を認めていません。そのため多くの会社では労働時間を法律内に定めています。

法律で定められた労働時間を超える場合の多くは残業時間となるわけですが、会社と従業員の間で時間外労使協定を結ぶことによって、月45時間までは残業をすることが認められるようになります。

さらに、時間外労使協定において特別条項を結ぶことによって、月45時間を超える残業をすることが可能となります。しかしながら特別条項については、基準時間がないため青天井で残業をすることができるという問題があります。

残業を規制する2つの理由

今回の指導強化の背景には、2つの理由があります。

ひとつ目は、これまでのように長時間労働を前提とした働き方では働ける人に限りがあり、政府が目指す一億総活躍社会実現のため、子育て中の女性のように働ける時間に制約があったり、高齢者のように短い時間でも働けるような環境を整備することこそが必要だという点にあります。

以前にも書きましたが

女性の活躍を目指す一億総活躍社会実現の向こうにある矛盾

女性の活躍を邪魔する理由として、労働時間が長いため家事や育児などに支障があること、要するに「残業」や「休日出勤」が足かせになるという点を取り上げました。

ふたつ目として、長時間労働に対する疾患のリスクが高まるという点にあります。

長時間労働が問題となるのは残業代だけではありません

長時間労働と関係が強い疾患として、精神疾患と脳・心臓疾患があります。
どちらも労働時間が長くなるにつれ、業務と発症の関連性が強くなるとされ労災事故と判断される可能性が高くなります。

精神疾患については、発病直前の連続した2か月間に、1か月当たり約120時間以上または、発病直前の連続した3か月間に、1か月当たり約100時間以上の長時間労働があると労災判定の心理的負荷が強になるとされています。

次に脳・心臓疾患については、発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月から6か月間に渡り1か月当たりおおむね80時間を超える時は業務と発症の関連性が高いとされています。

全国の常勤労働者は約5000万人いますが、そのうち80時間以上の残業をしている人は約300万人とされています。

現状では、特別条項において長時間労働が行われないよう自主アンケートなどが行われていますが、必ずしも効果的とはいえません。また、先ほども書いたように時間外労使協定における特別条項については上限がありませんが、この上限を設ける案もあるようです。

おそらく立ち入り調査については、「かとく」の仕事になると思いますので一定の条件に当てはまる企業がまずは対象となることが予想されます。

政府は長時間労働の抑制のため、法改正までは目指していないとのことですが、どの程度踏み込んだものとなるのか注目していきたいと思います。

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