テレビや新聞などでは、残業代ゼロ法案として賃金と労働時間を切り離した新しい労働時間法制が注目を集めています。
法改正ではこの面にばかり注目を集めていますが、一方で昨年11月からは過労死防止対策推進法の施行や企業に対してストレスチェックの実施を義務付けるするなど、長時間労働に対する防止策やケアなどの取り組みも進んでいます。
厚生労働省では平成27年6月をめどに、メンタルヘルス対策や過重労働対策も含めた安全衛生に関する取組みを進めている企業を評価・公表する仕組みを開始する予定です。
この仕組みは、過去3年の状況、現在の取組み、積極的な取組みの評価に対して、一定の基準を満たしているようであれば、安全衛生優良企業として認定し、企業アピール等に利用できるというものです。
安全衛生優良企業として評価された企業は、こちらのシンボルマークを3年間使用することができるそうです。
キャッチフレーズは「働く人の安全と健康こそ企業の業績」、呼称は「安全衛生優良企業」とのこと、硬いな。優良マークについては、認定を受けた企業が商品、役務、取引きに用いる書類、広告、事業所における掲示、インターネット、労働者の募集の際の広告や文書に利用できるそうです。
安全衛生優良企業公表制度において、企業が認定を受けるまでの流れは次のようになっています。
- 企業が厚生労働省のHPにおいて自己診断する
- 一定の基準を満たしている場合には、申請書類を作成し本社を管轄する労働局に対して申請
- 労働局において書類審査、ヒアリング調査(必要時のみ)の実施
- 認定された場合には、厚生労働省のHPに企業名が公表
なお優良企業の評価については、大きく分けて3つの項目において一定の基準を満たす必要があります。
1.過去3年の企業の状況
- 労働関係法令の重大な違反がない
- 労働災害発生状況等が同業種平均に比べ低い
- 法令違反を理由に国から企業名を公表されていない等
2.現在の企業の取組み
- 安全衛生に取り組む組織体制の整備
- 企業のトップも含む全社的な取組み
3.企業の積極的な取組みの評価
- 安全衛生活動の推進のための取組み
- 健康保持増進対策
- メンタルヘルス対策
- 過重労働防止対策
- 受動喫煙防止対策
- 安全対策(リスクアセスメント等)
優良企業に認定された企業には、次のようなインセンティブがあります。
- 安全衛生優良企業として厚生労働省のホームページに企業名を掲載する
- ハローワークにおいて求職者に対するアピール
- 厚生労働省において一般競争入札総合評価落札方式により入札を行う際に加点事由とする
- 地方自体や民間等に対して、調達における優良企業の優遇の要請
「安全衛生優良企業」と名前からして地味なかんじがしますが、子育てをサポートする企業に対する「くるみん」のようなものでしょうか。
くるみんマークを取得した企業のみなさま、次は「安全衛生優良企業」の認定を目指されてはいかがでしょうか。