2016年4月から年5日間の有給休暇の取得が企業に義務付けられるようになるようです。6日をめどに開かれる、厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の分科会の報告書で最終案として示すとされています。今国会に労働基準法の改正案を提出し16年4月から施行予定です。
分科会資料として出されている報告書骨子案には、次のように書かれています。
(4)年次有給休暇の取得促進
- 年次有給休暇の取得日数が低迷している実態を踏まえ、年次有給休暇の取得が確実に進むよう、年●日間の年次有給休暇の時季指定を使用者に義務付けることが適当。
- 具体的には、労働基準法において、計画的付与の規定とは別に、有給休暇の日数のうち年●日については、使用者が時季指定しなければならないことを規定することが適当。
- ただし、①年●日間以上の年次有給休暇の計画的付与を行なっている場合、②当該年度に新たに発生した年次有給休暇の▲割以上の日数を取得した場合、使用者は上記の義務を果たさなくてもよいものとして取り扱うことが適当。
- なお、使用者は上記の時季指定を行うに当っては、①年休権を有する労働者に対して時季に関する意見を速やかに聴くように努めなければならないこと、②時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないことを省令に規定することが適当。
有給休暇というと、日本は欧米諸国と比べて取得率が低いという話しをよく耳にします。今回の法改正はこの取得率を見直そうという取組みです。
有給休暇の取得率を調べてみるとエクスペディアが行なっている比較調査がありました。日本の有給休暇の消化率もありましたので併せて載せておきます。
韓国を抜いて7年連続の最下位を脱却とあります。
調査対象国25か国中から上位12か国がグラフとなっており、残りの13か国はどうなっているのか分かりませんが、ともかく調査対象国の中でワースト2位となっているようです。
他にも有給休暇の取得率が低い理由があるのですが、1位の「人手不足のため」というのはまだ分かりますが、2位の「自営業で時間がない」とあり、そもそも自営業に有給休暇があるわけないだろ、と話しがそれるのはこれくらいにしておきます。
さきの報告書骨子案で日数が●日となっているように、経営者側と労働組合側で日数の調整が問題ではありましたが最終的に5日に落ち着いたようです。
5日という日数については、計画的付与の対象とできる日数が5日を超える部分とありますが、この辺りからきたのでしょうか。
具体的な5日間の考え方については、社員が自ら2日の有給休暇を取っているのであれば、会社は残りの3日分の取得させることになるようです。
また、対象者については、年10日以上の有給休暇が付与される者に絞る方向です。そのためパート社員など労働日数に比例して有給休暇日数が与えられる場合には一定の就労者だけが対象となりそうです。
なお、取得を希望する時季については、労働者に時季に関する意見を聴くよう努めるとなっていますから、イメージとしては、年初に対象社員に希望を聴いて有給休暇の取得時期を割り当てることになるでしょう。
また、今回の消化義務を免除される対象が、既に一定日数以上の計画的付与を導入しているか、一定以上の取得率の企業とされています。そのため有給休暇の計画的付与を導入する企業が増えることが予想されます。