新しく就業規則を作成したり変更した場合は、労働基準監督署に届け出ます。
その際には就業規則と併せて意見書を提出します。
会社に労働組合がある場合は過半数を占める労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者に対して意見を聴き、表明された意見を意見書に書いてもらいます。
意見書というと身構えてしまいますが、滔々と意見を書き連ねるというものではなくて、例えば「子どもが生まれた時も特別休暇が欲しい」でも構いません。特に意見もなければ「特にありません」と書くだけでも問題ありません。
まあ手続きとしてはこれだけなのですが、細かくみていくといろいろ疑問が出てきますので、まとめてみたいと思います。
労働者の過半数を代表する者とは
会社に労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者に対して意見を求めます。
過半数代表者については、監督又は管理の地位にある者でないこと、代表者を選出することを明らかにして、実施される投票や選挙などの民主的な方法によって選ばれた者でなければなりません。
代表者を決める際に問題となるのは、会社が代表者を決めてその者に「ここに署名しておいて」という方法です。これではせっかく決まった代表者も無効だと判断されてしまうので注意が必要です。
意見書に反対するという意見が書かれたとき
ようやく決まった労働者の代表者に意見を聴いたところ、反対するという意見が出た場合はどうなのでしょうか。
意見を聴くとは、文字通り意見を聴くことが大切であって、必ず同意を得る必要があるというものではありません。
もちろんなるべく同意を得ることが望ましいとはいえますが、反対意見が就業規則全体に対してでも、特定の箇所だけであっても、また反対する理由を問わず、就業規則の他の要件を満たしている場合は、その就業規則は有効なものとして取り扱われます。
趣旨を説明しても意見書を書いてもらえないとき
会社が就業規則の趣旨を説明して意見聴取のために相当の努力しても、労働者代表者が納得せずに、意見書の提出を拒否したときはどうなのでしょうか。
これでは労働基準監督署に、就業規則を届け出ることができなくなってしまいます。また、代表者がこの点を理解したうえで、わざと意見書の提出や署名を拒んでいるケースもあるかも知れません。
このような場合には、「意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱う」とされています。つまり、意見書を求めたが、拒否されたことを時系列で記録した文書を就業規則と併せて届け出します。
就業規則の作成については、会社側が一方的に作成することができるものです。極端な話ですが、法律要件を下回っていない限り、いくらでも会社側の好きな様に作れるということです。
会社側が好き勝手に作った労働者に極端に不利となるような就業規則では、労働者のモチベーションも下がってしまいかねません。
就業規則を作るのは、法律で決められているからだけでなく従業員の権利と義務をはっきりさせ、労働意欲を引き出すことが重要であり、社長が従業員に求めるルールをわかりやく伝えるツールでなければなりません。
せっかくの就業規則が使われないようでは作った意味がなくなります。仮に反対意見が出るようであれば、なぜその意見が出るのかを聴いたうえで、なるべく労使双方で納得できる就業規則を作って頂きたいと思います。