最近、限定正社員という言葉を目にする機会が増えています。
大手企業では、ユニクロ、スターバックスやイケアなどで、パート社員などの契約社員を限定正社員として採用するとしています。
ところで限定正社員は何を限定するのかというと、仕事の内容、勤務地そして労働時間のいずれかにおいて、一定の条件を決める(例えば、勤務地であれば異動無し、時間であれば短時間など)ものです。
このような働き方が出てきた背景は、少子高齢化による労働力の縮小、非正規労働者の雇用安定化、女性や高齢者の労働力化などがあります。
法律の面からも労働契約法が改正され、2013年4月から有期労働契約を繰り返し更新して5年経った労働者が申し出でることによって、有期労働契約が無期契約となることになりました。
これによって企業としても有期労働契約のその後の働き方を検討した結果、正社員と比べて一定の働く条件を定めた働き方として限定正社員というものが出てきています。
正社員という働き方
これまで正社員というと、1日8時間労働で転勤もあり、仕事も営業から経理などに変わる可能性があるというものでした。
分かりやすく言うと、会社の都合によって働き方が変わるということです。都合によって転勤できない場合などは、会社を辞めざるを得ないケースも見られます。
そのため、介護や子どもがいるなどの個人的な事情が有る場合には、働きたくてもパートなどの非正規雇用しか選択肢がありませんでした。
非正規雇用であれば雇用も不安定となり、働く側も契約が更新されない不安を抱えながら働くしかありません。
一方で限定正社員の場合、雇用については無期の労働契約となりますから雇用に対する不安が無くなります。その代わり正社員に比べて賃金などの労働条件を抑えて設定することも可能です。
限定正社員という働き方
これまでは、雇用の形の選択肢が正社員か非正規雇用かしかなかったので、正社員を雇えないからパート社員を雇っているケースもあったと思います。
また、パート社員といいながら有期労働契約書なども特に作らずに、正社員と同様に何年も働いている場合もあります。
限定正社員というのはあくまでも正社員ですから、雇用期間だけを特に定めないという労働契約になります。
つまり契約期間以外の給料、賞与や退職等の労働条件については、従来からの正社員と同じ条件とする必要もありません。一般的には従来からの正社員より労働条件が下がる場合が多いでしょう。
中小企業こそ限定正社員が向いている
また、ワーク・ライフ・バランスという言葉もよく耳にするようになりました。でもこれは大手企業の話であって中小企業には関係のないものという気持ちもあるかも知れません。
ですが、労働時間の短い社員をパート社員から限定正社員とすることは、実質的にはこれまでとそれほど大きな差がないものだと思います。それでも、パート社員と正社員では働く側のモチベーションが変わってくるのではないでしょうか。
大手企業に比べて採用が難しい中小企業こそ、短時間正社員などの限定正社員制度を取り入れることによって、ワーク・ライフ・バランスを人材活用戦略の一環としてPRすることができると思います。