先月の記事ですが、競合他社へ転職したことを理由に退職金の支払いを拒否したのは不当だとして裁判がありました。
記事によると、訴えを起こしたのは外資系大手生命保険会社の日本支店の元執行役員で「退職後2年以内に競合他社に転職した場合に、退職金の全額を支払わない」と転職の制限について合意したが、この合意に反して別の生命保険会社の副社長に就任したところ、会社から退職金の支払いを拒否されたということです。
これを不服として裁判が行なわれましたが、「顧客情報の流出を防ぐ目的で、競合他社への転職を禁止することは過大すぎるとして退職金の不支給を無効とする判決が出されました。
通常転職などをする場合には、これまでの経験を活かしてというパターンが多いように思います。
退職される会社としては、この事例のように競合他社への転職や独立を制限するために、同じような約束をしていることはあるでしょう。
在職中はともかく退職後については、本来職業選択の自由が認められている訳ですから、このような制限がどの程度有効となるかを考慮する必要があります。
もちろんすべて無制限に制限することは不可能です。
ある程度の制限をするためには、退職者の在職中の地位や業務内容、禁止する業務内容や期間・地域、職業選択の自由を拘束するための代償措置など総合的に考慮する必要があります。
当然その制限自体が必要かつ合理的な範囲内でなければ、無効とされてしまいます。