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固定残業制度の注意点

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入社する際に「うちの会社は残業代込みで給料を支払います」という話をしていないでしょうか。残業代を毎月一定額支払う方法は、一見管理も楽になるように感じますが実際はどうでしょうか。

実は次の2つの点で注意が必要となります。ひとつは固定残業代が給料明細のなかで分かるようになっていること。もうひとつは固定残業代としても使用者が労働時間の管理をする義務を免れないということです。

残業代を固定額で支払う場合は、残業代が給料総額のうちいくらなのかが、分かるようにしなければなりません。例えば給料が30万円としているのであれば、そのうち25万円については基本給、残りの5万円は固定残業代として支給すると分けて記載しなければなりません。

仮に退職した社員が未払い残業代として請求をしてきた場合には、大きな違いとなります。5万円を残業代として認めれるか否かによって、5万円×法律の時効として最長2年間(24か月)、支払額について120万円の差がでます。

次の問題点は残業代を固定額で支払っている場合であっても、使用者は労働時間管理を免除されている訳ではないということです。

厚生労働省から出ている「労働時間の適性な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」のなかで「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである。」とされています。

企業には、長時間労働による過労死やメンタル不調を来さないよう配慮する義務があります。
そのため残業代を固定額で支払っているからからといって、労働時間の管理を放棄することはできません。

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。(労働契約法第5条)

もっとも固定残業代の額が実際の残業時間に対する額を下回る場合には、追加で残業代を支払う必要があることは言うまでもありません。

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