労働条件

今後しばらく手当の見直しが流行るかも

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以前のエントリーで定年後の再雇用に際して、業務内容が同じにもかかわらず賃金が下がるのは違法だとした例を取り上げました。

定年後再雇用後に同じ業務で賃金が下がると違法だって

こんどは、物流大手の有期契約の運転手が正社員と業務内容が同じにもかかわらず、手当の支払いに差があるのは違法だとして格差是正を求め訴訟を起こしました。

先日、大阪高裁で行われた裁判では手当の一部を違法と認めて、差額の77万円の支払いを命じています。

前回と同じように、今回も運送業です。同業他社は大騒ぎでしょう。

今回の判決は、貨物運送のドライバー業務は、正社員と契約社員との間で大きな違いがないことを認めたうえで、「無事故手当」「作業手当」「給食手当」「通勤手当」については、正社員と契約社員に違いを設ける理由はなく、不合理だと判断しました。

一方で「住宅手当」「皆勤手当」については、人材活用の仕組みに違いがあるとして不合理とはいえないとしています。

労働契約法の改正

このように契約社員の賃金について争いが見られるようになった背景には、2013年4月に施行された労働契約法第20条があるためです。

同一の使用者と労働契約を結んでいる有期契約労働者と正社員(無期契約労働者)との間において、期間の定めがあることによって不合理な労働条件を結ぶことを禁止するものです。

契約社員はいつ雇止めをされるかどうか分からない弱い立場なため、不当に低い労働条件を押し付けられないよう有期契約労働者を保護するために定められたルールです。

対象となる労働条件とは

対象となる労働条件については、賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれます。

判断の方法について

労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは①職務の内容(業務の内容および当該業務に伴う責任の程度)、②当該職務の内容および配置の変更の範囲、③その他の事情を考慮したうえで、個々の労働条件ごとに判断されます。

とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、上記①から③を考慮して、特段の理由がない限り、合理的とは認められないと解されます。

今回の差額支払いについては、労働契約法が施行された以降についてとされています。今後同様の裁判がしばらく続くことも予想されるため自社に当てはまるかもというのであれば、早めに見直すことが必要でしょう。

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