4月に入り新入社員を見かける機会が増えました。
新卒採用というと高卒者と大卒者の差がよく比較されます。
例えば、離職率であれば七五三現象というように、就職して3年以内に高卒の5割、大卒の3割が会社を辞めると言われます。
また、賃金格差もあります。
労働政策研究・研修機構の調査によると、男性社員の高卒と大卒の退職金を除く生涯賃金は約6000万円近くの差があり、高卒と比較して大卒者は1.3倍ほど多いとされています。
この賃金の差は日本が学歴社会と言われる理由であり、高校卒業後も多くの学生が大学を目指す理由のひとつとなっています。
大学進学の価値低下
高校を卒業後の進学率ということで、文部科学省の2015年度学校基本調査をみると大学への現役進学率が48.9%となっており前年度より0.8ポイント上昇しています。
昔は大学への進学率も低かったこともあり、大学卒業生は優秀だったということもあるのかも知れませんが、2人にひとりが大学へ進学するようになり大学の価値も低下しているというのは周知の事実です。
特に上位校とFランクと呼ばれる大学における学生の質の差は大きくなっています。
同一労働同一賃金への流れ
政府の方針として「一億総活躍社会の実現」があり、そのためにも非正規雇用者の待遇改善を目指し「同一労働同一賃金」が話し合われています。
同一労働同一賃金というのは、正社員や非正規雇用にかかわらず同じ仕事内容であれば同じ給料がもらえるという考え方です。
以前のエントリーでも取り上げましたが、同一労働同一賃金を実現するために非正規雇用者の待遇を改善するというのであれば、総人件費の見直しが必要となり正社員の賃金を下げるしかありません。
しかしながら給料を引き下げるというのは、正社員の側からするとどう考えてもすんなりと応じられるものでないため、実現まで一筋縄ではいかないでしょう。
学卒給料における格差の見直し
大学の卒業者が高卒と差があるかというと、専門的な学部を除いて大学で勉強したことが仕事にすぐに直結することも少ないでしょう。
それでは、高校時代に真面目に勉強をしていた学生と大学入学後は勉強もせず、アルバイトなどに明け暮れていた学生の間にどれほどの差があるのでしょうか。
大学卒業ならでは知識や教養があるのかというと明確な差はなく、大学での経験などによる人間的な成長以外には無いように思います。
企業における価値観の差はあるとしても、単純に卒業後働いている期間を考えれば高卒者の方が期間が長いのですが、給与の面から判断する限り生涯賃金は大卒者という肩書が優遇されています。
しかし、本来なら企業への貢献度という尺度ではかるべきであり、学歴は入社後の貢献度をはかるうえでの目安程度でしかありません。
そうであれば、高卒者と大卒者の仕事における能力を給与に反映させることの方が合理的です。むしろ高卒、大卒者に対して見直しをする方が優秀な高卒者のモチベーションを高めることにつながるのではないでしょうか。
同一労働同一賃金というと、正社員と非正規雇用者の差に対して使われていますが、まずは高卒者と大卒者の給与を見直しから考えても良いかと思います。