今後は少子高齢化が進むと言われていますが、高齢化が進むと出てくるのが介護に関する問題です。
高齢者の増加に合わせて介護が必要となる方が増えるのですが、ひと口に介護といってもざっくりというと、すぐに介護が必要となる者(要介護)、介護は必要ではないものの、日常生活に不便をきたしている者(要支援)の2種類があります。
公的な介護保険においては、要介護又は、要支援の認定によって受けることができる介護サービスが異なっています。
介護が必要となる者の増加
介護保険制度における状況をみると、要介護又は、要支援が必要と認定された人は、平成24年で561.1万人となっており、平成13年から262.8万人増加しています。このうち65歳以上については、平成24年で545.7万人となっており、平成13年から258万人が増加しています。
それでは、実際に働いている方がどの程度介護の経験があるのかを調べてみると、「経験なし」が79.1%となっています。年代別にみると40代以降に徐々に増加しているとなっています。
こうしてみると、まだ介護を経験した方が少なく労働者も企業も介護を実感できていないという感じなのでしょう。
介護を理由に辞める労働者
それでは実際に介護を経験された方をみていきます。
家族の介護や看護を理由とした離職・転職者数はおよそ10万人前後で推移しています。やはりというか特徴的なのは、離職・転職者の男女の割合をみると女性が8割となっています。
さらに、介護や看護を理由に離職・転職をした人の年齢をみると男女ともに50代以降に増えています。
介護を理由に辞めなければならない理由をみると、「就業時間に制約がでる」が47.8%と半数近くをしめています。また、これは介護を経験した方ならではの意見ですが、「仕事以外の付き合い(飲み会など)ができない」という意見もあるようです。
こうしてみると、やはり介護と就業の両立が難しいために退職せざるを得ないという状況にあるようです。
時短という企業の取り組み
こうした中、今年の春闘における労使交渉のなかで、賃上げではなく労働時間の短縮をする動きが出てきました。味の素では基本給を維持しながから労働時間を短縮するとしています。
(時事通信ニュース2016年3月8日)
記事を見る限り、なんで労働時間の短縮がでてきたのかについては書かれていませんが、介護という点から考えると介護を続けながら働くことができるかも知れない新しい動きにつながります。
やむを得ず退職する側も介護の時間を確保するためとしていますが、実際には費用負担の問題もありできれば働き続けることができればという思いはあるでしょう。
さらに政府の推進する一億総活躍社会における女性の活躍という点においても、介護のために退職する女性が多い現状を踏まえると、なんとかしなければならない問題です。
高齢化社会において介護の問題は必ず出てきます。
そんななか労働時間の短縮というのもひとつの選択肢といえるでしょう。