先月、法改正によって65歳以上の高齢者も雇用保険に加入することができるようになるとのエントリーを書きました。
具体的には、65歳以上の労働者についても雇用保険の加入対象となるが、雇用保険料については徴収されないとのことでした。
失業した際に支給される給付については、賃金の一定割合が最大で50日分支給されるとありましたので、おそらくこれまでの高年齢求職者給付をイメージしたものだと思います。
65歳以降の退職はデメリットになる
ちなみに高年齢求職者給付というのは、65歳前からずっと働き続ける者が65歳を超えて失業した場合に、一時金として(1年以上雇用保険に加入していた場合)50日分が支払われるしくみです。
この高年齢求職者給付ですが、利用する側からみるとあまり使い勝手の良いとはいえないしくみでした。
通常、失業すると失業給付といわれる基本手当をもらうことができます。基本手当については、年齢や雇用保険に加入していた期間でもらえる日数等が変わり、長く働くほどメリットがあります。
たとえば、定年などによって65歳未満で退職した場合は、雇用保険に加入していた期間が10年未満の場合は90日分、20年以上となると150日分の手当をもらうことができます。
ところが、引き続き65歳を超えて働き続けると同じ失業でも、基本手当から高年齢求職者給付となるため、90日分や150日から50日分へと減ってしまいます。
つまり、65歳を超えて失業した場合には受け取る額が減ってしまうので、どうせ辞めるのであれば、65歳前に辞めた方がメリットがあるということになります。
65歳以降の雇用保険
話は先ほどの雇用保険の改正にもどりますが、これまでは65歳以上の場合は、そもそも雇用保険に加入できませんでした。
法改正によって、新たに65歳以上でも就職したときにも雇用保険に加入することができるようになるということです。
ところが、さらに新しい話が出てきました。
これまで保険料を徴収してこなかった64歳以上についても雇用保険料を徴収することができるようにするようです。
共同通信1月14日
(this.kiji.is/60264149142011911より)
雇用保険への加入要件を満たせば加入対象となり、64歳以上の保険料免除の規定を廃止。保険料については20年4月から徴収するとされています。
雇用保険の保険料が徴収されるようになり、使い勝手の悪かった一時金での高齢求職者給付の仕組みが改正されるようですが、これまでの基本手当のように雇用保険への加入期間によって受け取る額が増えるようになることが予想されます。
65歳以上も働く機会が整えられている
雇用保険への加入によって、65歳以降であっても働く場があれば就労に対するモチベーションも上がっていくことでしょう。
そうはいっても、高齢者の中には、若いときと同じような働き方を求めないというケースもでてくるかも知れません。
企業としては、ますます短時間就労などによってひとつの仕事をシェアするワークシェアリングなど工夫の余地が広がっていきます。
高年齢者雇用安定法による定年後の継続雇用、社会保険の加入対象拡大、雇用保険の改正とくると次は、年金の番かなぁ。。。