昨日は、「労働法改正が実務に与える影響」というタイトルで、法律改正の目的と他の法律との関わりからみえる労働法の方向性について、研修を受けてきました。
普段は、施行されている法律だけを実際の現場にあてはめて見ているので、他の法律を横に並べて見比べることはしていないこともあり、また学者さんらしい法律の捉え方などためになります。これまで自分が勘違いをしていることが確認できました。
金銭解雇のはなしについて、以前このブログで取り上げています。
また金銭解雇の話題がでてきたので解雇と金銭による解決を考えてみる
和解金を受け取る代わりに、職場復帰せずに退職する仕組みって現状でもあるような気がしますので、新しく制度化を目指すということに疑問も出てきます。
というようなことを書いていましたが、現状では次のような流れとなっています。
労働者が解雇される→裁判で解雇無効を訴える→裁判で解雇無効と判断される→揉めた会社には戻りたくない→戻らない代わりに金銭を受け取り円満退職
最終的にはお金で解決となりますが、どうしても解決までに時間がかかります。
金銭による解決金制度とは、この途中の流れをすっ飛ばしてしまうということです。これによって次のように変わります。
労働者が解雇される→戻らない代わりに金銭を受け取り円満退職
最終的には金銭を受け取って退職するというゴールはかわりませんが、そこまでに至る過程が短くなるため、解決までの時間が短くなります。
これは泣き寝入りすることなくお金を受け取ることができるようになるという制度であり、労働者はもちろん、会社にとっても裁判を避けるこという意味ではプラスだと言えるでしょう。
改めて金銭による解決金制度をみてみると、ポイントとなるのは次の点です。
今回の話に出てきている解決金制度は、裁判で解雇は無効であると判断された場合に、労働者からの申し出によって金銭を受け取る代わりに退職するという仕組みです。
通常の場合、裁判までして争うようなことがあれば、たとえ解雇は無効だと判断されても感情的にスッキリと職場復帰するのが難しいときもあるでしょう。そんな場合に職場復帰する代わりに解決金を受け取り退職となります。
会社側からの申し出によって解雇することができるようになると、お金さえ支払えば好きなように辞めさせることができるようになってしまいます。さすがにこれでは、問題があるでしょう。
現状では、解雇無効を争いたいけれど、会社を辞めてしまっては先立つ収入源がなくなってしまうこともあり、裁判で争うよりも、泣く泣く就職活動を選ぶことが多いことは十分に考えられます。
金銭による解決金制度は、会社側が「お金さえ支払えばクビにできるようになる」と捉えがちですが、実際には労働者側が、解雇自体は不本意ながらも一定の金銭を確実に受け取り解決する仕組みであり、現状の回りくどい流れを考える限り有効だと思います。