今週末からのシルバーウィークを前に、国会では安保関連法案をめぐって最終攻防を向かえています。
そんな安保関連法案の影響を受けて、これまでこのブログでも取り上げてきた労働基準法についての改正が、今国会で見送られました。
例えば、こんなものを取り上げました。
有給休暇5日が消化義務になる働き方は変わるか?
残業代ゼロ法案ばかり注目が集まるけど中小企業に影響がある法改正はこれだ
タイトルにもあるように労働基準法の改正では、残業代ゼロ法案が目立っていましたが近年の法改正状況も含めて考えると、従業員の労働時間を増やすことが、そのまま企業の負担増加につながることになりつつあるように思います。
パートタイマーの社会保険への加入条件の緩和
例えば、社会保障と税の一体改革として、平成24年8月10日に成立した「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」によって、平成28年10月から短時間労働者(パートタイマー)への社会保険への適用が拡大されることが決まっています。
現行では、週30時間以上だったものが、次の条件を満たす労働者へと変更されます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 月額賃金が8万8000円以上であること(年収106万円以上)
- 継続して1年以上勤務することが見込まれること
- 学生ではないこと
- 従業員501人以上の企業であること
「3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講じる」とありますから、今後従業員が500人未満の会社も対象となることは十分に予想されます。
月60時間超の残業の割増率アップ
上記にもありますが、労働基準法の改正案の中で、中小企業に最も影響があるのは、月60時間を超える時間外労働に対して50%以上の割増率とするものだと思います。
月で60時間ですから、20日出勤としても1日3時間を超えて残業すれば60時間を超えてしまいます。いまは25%の割増率が60時間を超えた場合には、いきなり倍の50%になります。
さらに過重労働僕別特別対策班「かとく」や、昨年11月に施行となった「過労死等防止対策推進法」など、政府は過重労働対策を進めています。
長時間労働の取り締まりに荷重労働撲滅特別対策班「かとく」が動きだした
社会保険への加入がパートタイマーにも広がることは、社会保険料の負担増加を意味します。そのためパートタイマーで社会保険に加入させないのであれば、1週間の労働時間を20時間未満に抑えなければなりません。
また、月60時間超の残業に対する割増率アップも、残業代の負担を考慮すると注意が必要となります。
折しもこの時期は最低賃金の額が決まりますが、東京では888円から19円アップの907円、全国平均では780円から798円となるようです。
人手不足感が出てきた中で、これらの企業負担増を考えると、やはりこれからはいかに働かせないかが重要となるのではないでしょうか。