日本生産性本部では、その年ごとの新入社員の特徴を発表しています。
ちょっと血液型占いに近い気もしますが、言われるとそんな気がするという内容と特徴を面白く表しています。今年のタイプは「消せるボールペン型」とのことです。
見かけはありきたりなボールペンだが、その機能は大きく異なっている。見かけだけで判断して、書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)を活用しなければもったいない。ただ注意も必要。不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)。
なんで「消せるボールペン型」なのかというと、見かけは普通のボールペンでも最大の特徴は、書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)である。但しボールペンが「消せる」のは摩擦熱によって「消えた」ように見える機能なので熱に弱い。
そのため即戦力にしようと思って熱を入れる(熱血指導する)と色(個性)を消しかねない。さらに酷使しすぎると(ブラック企業と誤解されて)すぐにインクが切れてしまう(直ぐに退職してしまう)危険性があるということです。
金銭を支払うことによる解雇制度
そんな新入社員も定年までいるかどうかは別として、いつかは退職することになります。退職といっても自己都合退職と会社都合による退職、つまり解雇があります。
政府の規制改革会議において、解雇をする際に金銭を支払うことによる仕組みについて導入を提言しているようです。
これは政府による成長戦略において「労働者の停滞産業から成長産業への移動」を掲げており、雇用の流動化をはかるための仕組みです。
具体的には、雇用規制の緩和を目指すために「一定額の金銭を支払うことによって解雇できる解決金制度の導入を検討しています。
ただし、「カネさえ払えば従業員をクビにできる」という批判もあるため裁判で解雇無効とされた労働者に限ってのようです。
厚生労働省としては、「使用者に金銭解雇の申し立てを認めないなら悪用に一定の歯止めをはかるとして、今後、有識者会議において検討を進めるようです。
解雇に関する法規制とは
法律では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができる」(民法627条1項)とされています。
そうは言っても、会社は無制限に解雇ができるわけではなく制約があります。
労働契約法16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」となっています。
この「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当」があいまいなため実際の判断は、解雇となった経緯をみながら過去の裁判例を参考にして決定しています。
さらに解雇をする場合には、少なくとも30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払うものとしています。
現実を踏まえると金銭を支払い解雇できる方がよいのでは
それでは実際の現場ではどうなっているかというと、大手はともかく中小企業においては、そんな法律どこ吹く風のごとく解雇があります。
しかも、解雇予告手当としての30日分の賃金の支払いについても、きちんと支払われていない場合もみられます。
解雇された労働者は、裁判をして解雇無効を争うという選択肢を選ぶにしても判決が出るまで時間もかかます。また現実問題として生活があるため裁判よりも、新たな職を探すことを選ぶ方が多いでしょう。
金銭解雇制度に反対する側は、「お金を払うことで自由に解雇ができるようになること」を考慮したうえでのものでしょう。
ですが実際には、解雇予告手当すら支払われずに解雇されているのであれば、むしろ一定額の支払いを約束することは労働者側にはプラスになるものだと思います。
もちろん、経営者が「気に入らなければクビにする」というブラック企業的な面での心配はありますが、むしろ金銭の支払いをチェックする仕組みを強化する方が現実的な気がしています。