有給休暇

有給休暇を取るときの理由が私用のためはダメなのか

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労働基準法の改正に向けて新しい働き方が検討されていますが、その中で年次有給休暇の取得を促進するため、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日については会社が取得する時期の指定をするように義務付けるものとされています。

 

このことについては以前取り上げています。
有給休暇5日が消化義務になる働き方は変わるか?

有給休暇というと、よくある質問として「有給休暇を取得する場合の理由」があります。

一般的な取得理由としては「私用のため」というのが多い気もしますが、なかにはもっと詳しく理由を説明するようにと求める場合もあるようです。

この場合、有給休暇の取得理由は「私用のため」だけでもよいのか、あるいはもっと詳しい内容を聞いてもいいのでしょうか。

会社によっては「私用のためだけでも問題ない」から、「もっと詳しく説明しなければ認められない」まで様々な対応があるようです。

私の会社では、有給休暇の場合は理由の欄には何も書きません。有給休暇を何に使おうと会社は関与しない。口頭で理由を言う人もいるし言わない人もいる。私も提出するときに免許更新だとか市役所に行く、などというときは話しますが、もっとプライベートな用件での時は言いません。もちろんみんなある程度事前に休暇を取ることを伝えて、業務に支障の無い様にはしていますが。 理由を必要とするのは、有給休暇以外の慶弔休暇などの場合だけです。

ウチの会社も詳しく書かされます。 病欠の際なんか 医者の領収書添付が無いと欠勤にされてます。 確実におかしい会社ですけど それがルールになってしまっています。とにかく有休を取らせたくないみたいです。 これって訴えれますかね?

管理監督の側から見れば部下社員の休暇は管理される範囲ですから、理由は具体的に書く必要があります。

いきなり訴えられても困るのですが、有給休暇を取る理由を聞かれることに抵抗があるようです。確かに会社を休んで遊びに行くのであれば、気が引けることもあるでしょうし、実際に嫌味のひとつでも言うような上司がいるのかも知れません。

有給休暇の法律的な取り扱い

それでは法的にはどのようになっているかと言うと、

いかなる目的のために利用しようと関知せず、休暇の利用目的が休養のためでないという理由で使用者が拒否することは法律上認められない。

とされており、有給休暇をどのように利用するかは会社の干渉を許さず、労働者の自由であるとされています。

本来、有給休暇は心身の疲労をリフレッシュさせることを目的としていますが、法律の趣旨からすると取得理由は、会社の干渉を許ず労働者の自由なので病気療養だったとしても問題ありません。

うちの会社は病気の時しか有給休暇を使えないというのは別問題ですが。

会社側に与えられた時季変更権

一方で、会社側には「時季変更権」として、指定された時期に有給休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合には、その取得時期を変更できるものとされています。

これは、例えば「年末年始などに忙しいため」だとか、「同じ時期に多くの社員が有給休暇を希望している」場合など、休暇を取ることによって支障をきたす場合の措置として認められています。

もちろん事業の正常な運営を妨げる場合というのは、ケースバイケースですから、実態によって判断されます。そうは言っても裁判では、「会社側はできる限り社員が指定した時期に休暇を取得することができるように状況に応じた配慮をすることを要請しているものと解すべき」としていますので、会社は社員が希望する時期に有給休暇を取得できるように調整する努力をしなければなりません。

結局のところ休暇の理由を詳しく聞く理由は

本来、有給休暇の取得理由を聞くのは、有給休暇の希望が重なった場合などに取得理由によってその時期を変更してもらうことがあるためだったのでしょう。

ですが、これがひとり歩きするうちに、どんな場合であっても理由を詳しく求めているのではないかと思います。

ちなみに、法律では「時季」としていますが、ここでは便宜上「時期」として統一して使っています。法律で時季としているのは、シーズンを加えた時期の意味として使われているようです。

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