年次有給休暇や生理休暇、育児休業、介護休業など法律で定められた休暇制度とは別に、特にに配慮を必要とする労働者に対する休暇として特別な休暇制度というのがあります。
こちらについては、法律では決まりがない休暇として会社が独自のルールを定めている休暇制度です。あくまでも任意による休暇制度のため法定外休暇と呼ばれます。
特に配慮を必要する労働者とは、様々な事情により事業主の配慮を必要としている労働者であって、厚生労働省「労働時間等見直しガイドライン」において次のように示されてています。
- 特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者
- 子の養育や家族の介護を行う労働者
- 妊娠中及び出産後の女性労働者
- 単身赴任者
- 自発的な職業能力開発を図る労働者
- 地域活動を行う労働者
- その他特に配慮を必要とする労働者
会社に対しては、このような労働者各人が抱える多様な事情や業務の態様に対応した労働時間等を設定することが求められています。
実際に特別な休暇制度についての導入状況に対するアンケート結果をみると、56.8%の企業において何らかの休暇制度を導入しており、企業規模が大きくなるほどその比率は高くなっています。
代表的な特別な休暇制度の例としては、次のようなものがあります。
・「ボランティア休暇」
労働者が自発的に無報酬で社会貢献活動を行う場合に必要な期間について与えられる休暇、「社会貢献活動休暇」と呼ばれることもあります。
・「リフレッシュ休暇」
入社日から5年、10年などの節目に労働者の心身の疲労回復等を目的として与えられる休暇です。
・「裁判員休暇」
平成21年から国民が裁判員として参加する裁判員制度が開始されました。裁判員として裁判に参加するのであれば本来は公の職務に当たります。そのため労働基準法に定める公民権行使の保障として労働が免除されます。
しかしながら裁判所としては、裁判員制度の普及のためにも特別な休暇制度の創設を薦めています。
・「犯罪被害者の被害回復のための休暇」
犯罪行為により被害を受けた被害者及びその遺族等に対して、被害回復のために付与される休暇制度です。例えば、犯罪被害による精神的ショックや身体の不調からの回復を目的として、1週間の休暇を付与することなどがあります。
特別な休暇については、あくまでも法定外の休暇制度となるため、会社が求める考えを反映した仕組みとなります。
根底にあるのは、自社で働く労働者が心身の健康を保持することをはじめ、職業生活の中で訪れるであろうと思われる制約に対して柔軟に対応することにより、これまでのスキルを無駄にすることなく会社に貢献し続けることができる仕組み作りです。
そこにあるのは、必ずしも労働者のための制度ではなく、休暇制度を取り入れる会社の企業経営の効率化や活性化、柔軟性をも目指す制度となることでしょう。
特別な休暇制度に関するサイトがありますので、ご紹介します。
特別な休暇制度