残業

労働基準監督署から残業について指摘された企業の取組み例

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お正月気分も抜けて通常業務に戻りつつある時期でしょうか。
昨年から労働時間と成果を切り離す働き方に注目が集まるなかで、中小企業の残業代の取扱いについても見直しが予定されています。

平成22年4月より長時間労働を抑制することを目的として、労働基準法が改正されています。

1か月に60時間を超える時間外労働を行う場合には、法定割増率を25%から50%に引き上げることになりました。ただし、中小企業については当分の間法定割増率の引き上げは猶予されるものとなっています。

本来は残業をした場合には、割増率を加えた残業代の支払いが必要であり、未払いの場合には賃金の不払いとして労働基準法違反となり、是正勧告の対象となります。

中小企業の法定割増率引き上げに伴って、残業代の不払いに対する労働基準監督署の指導も厳しくなることが予想されます。

厚生労働省においても労働時間の管理の適正化と残業代不払いの解消のために労使が取り組むべきことを「賃金不払い残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」として示しています。

「賃金不払い残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」

今回は平成25年度に労働基準監督署から残業代不払いを指摘された企業が、この指針に基づいて実施した改善取組み事例をご紹介します。

◆業種:製造業

  1. 労働時間の適正な管理を重要な経営課題と位置付け、労働時間の状況について、毎月の経営会議にて確認・審議を行い、必要に応じて経営幹部から是正指導をする。
  2. 管理職を対象に、労働時間管理の方法に関する説明会を実施する。
  3. さらに管理職が行う労働時間管理が適正になされているかについて、人事部門がチェックを行う。

◆業種:金融業

  1. 賃金不払残業の再発防止や荷重労働による健康障害の防止について経営トップによる決意表明を行い、これらに係る労使協議会を開催した上で労使協定を締結した。
  2. 労働時間管理の手法として自己申告制を継続するに当たり、労働時間の過少申告が行われたことを踏まえ、労使が協力して労働時間管理について検討する「労働時間適正化委員会」を設置し、労使それぞれで設ける相談窓口の活用促進をする。

◆業種:医療保健業

  1. 労働時間管理者に対して労働時間や休憩時間に関するセミナーを実施する。
  2. 休憩時間の取得状況を労働時間管理者と総務部門が確認する。
  3. 把握した毎月の労働実績を労働者本人に通知し、労働者が申請した労働時間と相違が生じている場合には、その都度協議する。

◆業種:協同組合

  1. 経営幹部から、管理職を含めた全労働者に対して、労働時間管理の考え方や性格な申請を行うことなどについて周知徹底を図る。
  2. 出退勤時刻と残業申請のあった時間に一定時間の相違があった場合に、管理職や人事部門で時間外労働の有無を確認する。
  3. 管理部門が4か月ごとに事務所内を巡回し労働時間管理の実態調査を行う。

残業代の未払いにより労働基準監督署から指摘を受けた場合には、過去に遡って支払わなければなりません。企業の取組み事例をみると、まずは経営幹部から労働時間の管理や残業代について理解を深める必要があるようです。

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