先日、第2次安倍内閣が発足しました。
今回の閣僚をみると女性の閣僚が5人登用し、女性活躍担当相を置くなど、政府による新成長戦略のひとつである女性の活躍の促進を促す意気込みを感じます。
でもどうも違和感を感じています。何がって女性の活用の促進ってやつにです。政策目標として20年までに女性の管理職比率を30%とのことですが、これって逆に女性優遇のような気がしております。
数値目標が悪いことではないのでしょうが、本来、企業の管理職というのは性別を問わず能力のある社員がなるものです。それを敢えて数値目標として出すことが、果たして公平な評価の結果につながるのでしょうか。
そんなことを考えながらネットを見ていたら、興味深い記事を見つけました。
「なぜ女性管理職は増えないか「30%目標」を遠ざける”日本的慣行の疾患”(DIAMONDonline)
とくに大企業で管理職の女性が少ない原因は、個々の女性を差別しているわけではなく、もともと管理職の年齢層に女性が少なく、相応しい人材に乏しいためという(厚生労働省「雇用機会均等調査(2013年度)
女性の離職率を年齢階級別にみると25~29歳の一般労働者が最も高くなっています。特に出産・育児の理由による離職率については、25~29歳と30~34歳で高くなっています。(厚生労働省「雇用動向調査の概況」(平成24年)
このことから分かるように出産・育児が女性の社会進出の大きなハードルとなっています。さらに、記事の中では女性の管理職が少ない主因として次の要因をあげていますが、言いかえれば女性が働くことが妨げられるような仕組みとなっているという理由にもなります。
女性の管理職が少ないことの主因は、①長期継続雇用前提の年功的な内部昇進、②配偶者が専業主婦の世帯主を暗黙の前提とした長時間労働や頻繁な転勤等の働き方、③専業主婦世帯を優遇する税制や社会保険制度、等がある。
性別による差別を禁止する法律として、男女雇用機会均等法がありますが、これとて約束できなくなった終身雇用を前提とした働き方を変えることができるまでには至っていません。
女性管理職が「30%」というのは、あくまでも女性が出産や育児等で退職をせずに働くことができ、あるは短い期間で職場に復帰できる仕組みがあり、また出産や育児の期間がマイナスとならないようになった結果として達成できる数値であって、目標だけがひとり歩きしているようでは、女性優遇策にしか感じないという違和感を拭うことは難しいでしょう。
これまで男性は外で働き女性は家を守るような考え方が前提としてありました。この考え方を急に変えることは難しいかも知れません。
ですが、少なくとも政府としては、企業における数値目標設定という私企業に対する個別関与よりもまず、専業主婦が優遇される税制や社会保険制度、小さな子どもを安心して預けることができる仕組み、短時間労働でも十分評価される働き方など、選択肢として働くことを希望する女性が働きやすい環境を整えることにこそ注力して頂きたいと思います。