社員を雇う場合に月給制や時給制など、給料の支払い方は様々ですが基準となる額があります。これを最低賃金といい毎年10月以降にその額が改定されています。
最低賃金とは、文字通り最低でもこの額以上は給料を支払ってくださいね、という趣旨のものです。そのため、たとえ社員との間で合意をしていたとしても最低賃金を下回る給料の支払い方は認められません。
この場合は法律によって最低賃金と同額とみなされてしまいます。その結果として最低賃金を下回る額については賃金の未払いがあるものとなります。
最低賃金についてはこちらにも説明があります。
さて、そんな最低賃金ですが、今年の改定額が全都道府県で出揃いました。全国平均は12年度と比べて15円高い時給764円とのことです。東京都は19円高い869円となりました。
このため10月からは正社員だけでなく、パートやアルバイトを問わず、全ての労働者に対して時間額として869円以上(東京都の場合)となるように給料を見直す必要があります。
最低賃金を見直す際に、実際の支払う給料の額が対象となる訳ではありません。最低賃金を計算する場合に、次のものは含めないとされています。
- 精勤・皆勤手当、通勤手当、家族手当
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定時間外労働、所定休日労働、深夜労働に対してい支払われる賃金(残業手当など)
時間額を計算する際に、これらの賃金を除いた額が東京都の場合は869円以上となるように見直さなければなりません。
この見直しの際に注意しなければならないのが、残業代を定額で支払っているケースです。
毎月、残業代として30時間分などを固定の手当として支払いをしていると、最低賃金額の改定に伴ってあらかじめ想定した時間額を下回る場合がでてきます。
たとえ固定残業代を支払っている場合であっても、固定残業代を超えて時間外労働が発生した時には、追加で残業代を支払わなければなりません。
そのため固定残業代についても、最低賃金で計算したものが想定した時間分となっているかどうかの確認が必要となります。
地域ごとに定められた最低賃金を支払っていない使用者に対しては、50万円以下の罰金も定められていますので、くれぐれもご注意ください。
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