先日、自転車事故による賠償金が9500万円と、かなり高額だったことでニュースになっていました。
当時小学校5年生だった少年が乗った自転車が、帰宅途中に歩行者の女性(67)に気づかずに正面衝突しました。その際に女性は頭部を強打し一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年経過した今も寝たきりの状態が続いているそうです。
高額な賠償となった内訳としては、将来の介護費用約3940万円、事故で得ることができなかった逸失利益約2190万円、けがの後遺症に対する慰謝料2800万円などとされています。
東日本大震災以来、改めて自転車が見直されており通勤に利用する方も増えているようです。そのため社員が自転車通勤を希望する場合もあるでしょう。
先のケースのように、通勤途中に社員が自転車事故を起こす可能性も十分に考えられます。この場合、直ちに会社に責任が発生するわけではありあませんが、何らかの企業としての落ち度を捉えて損害賠償責任や使用者責任が認められる可能性も否定できません。
そのため自転車通勤を許可する場合には、少なくとも保険に加入していることを義務付けるべきでしょう。
また、自損事故の場合であっても、労災として認められるか否かの問題もあります。そもそも運転してはいけないことになっていますが飲み会などの帰りだったり、食事をする、通勤経路を外れ遠回りして帰るような場合も考えられます。
この他にも、駐輪場や通勤手当の取り扱いなども検討しなければなりません。さらにはスマートフォンを利用しながら運転しているなどマナーの問題もあるでしょう。
自転車通勤については、健康や環境に配慮できるなどさまざまなメリットがあります。その裏で万が一に対するデメリットもあります。
自転車通勤を希望する社員がいる場合、会社として自転車通勤に対する取り扱いとして、どのようにルールを作るのかが重要です。もちろんルールを作って終わりではなく、その後も確認の場や教育の機会なども必要でしょう。
自転車は、誰でも手軽に乗ることができるイメージが強いだけに、気軽に考えがちですが、万が一に備え徹底した運用ルールを回すサイクルが重要と言えるでしょう。