労働時間

残業手当より早朝手当はいかがでしょうか

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伊藤忠商事では、社員の労働時間を朝方にシフトさせることによって、業務の効率化につなげる仕組みを取り入れるそうです。

同社の勤務時間は午前9時から午後5時15分となっています。その後の労働時間については残業となる訳ですが、午後10時までの勤務については25%の割増率、午後10から翌朝の午前5時までは50%の割増率で残業代の支払いをしています。

新たな制度では、午前5時から9時までの早朝時間帯に対して、割増率50%の手当を支給する代わりに、午後10時以降の深夜残業を禁止して職場を完全消灯するとのことです。

ここでのポイントなるのが、午後10時以降の深夜残業を禁止する代わりに早朝時間帯の割増率を50%とすることです。管理職についても25%の割増賃金の支払をするそうです。

もともと労働基準法では、午後10時以降については50%の割増率が義務付けられています。管理職についても午後10以降については25%の割増率とされているので、その分をまるまる早朝時間帯にシフトさせるという仕組みです。

深夜残業であれば、午後10時から翌朝午前5時までの最大7時間が50%の割増率の対象となる可能性があります。しかし、早朝時間であれば、午前5時~9時までであっても最大4時間と限定されます。そのため結果として人件費を抑える効果があります。

本来の導入目的としては、社員の健康管理の観点から残業削減に取り組むことかも知れません。長時間労働については、精神疾患や心臓疾患などの病気につながる可能性もあり、下手をすると労災として会社の職場環境配慮義務違反を問われる恐れもあるからです。

業務の効率化については言うまでもありません。個人的な経験としても、深夜時間まで残業をすると疲れが出てしまい、必ずしも成果につながらないという気がします。

一方で早朝の時間は、電話などに邪魔されることもなく、1日のうちでも頭がすっきりしているため仕事が捗ります。

記事によると、早朝に出社し保育園に子供を迎えに行くために、定時に帰宅する女性社員などが働きやすい環境づくりにもつなげるとあります。そのため早く帰宅したいという社員がいる場合には、喜ばれる取組みとも言えるでしょう。

また、早朝時間の取り扱いについては曖昧な場合も多く、仕事をしていても残業のように手当の支給が無い場合もみられます。早朝時間を対象として手当を支払うことによって、勤務時間としての区切りをつけるとともに早朝時間に働くことに対するインセンティブにもなります。

同社のように、早朝時間の取り扱いを明確にすることによって、業務の効率化を図りながら人件費の負担を下げる方法は、注目するべき取組みと言えるでしょう。

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