6月は祝日が無い月なので、会社勤めの時は嫌いでした。
社労士の今はこの時期、労働保険の年度更新や社会保険の算定など、業務がたて込む時期なので稼働日数が多いのはありがたいところです。
さて、祝日がないのであれば年次有給休暇を取ればいいところなのですが、経営者の中には有給休暇を与えたくないというか、休暇を与えると仕事が廻らないので与えられないという方が多いのも事実です。
こうして使われることなく貯まっていった有給休暇を退職時にまとめて使いたいと言われて困った、という話もよく聞きます。
そんな経営者の方に嫌われることの多い年次有給休暇ですが、ひと工夫することによって効率的に消化することができるようになるのでご紹介します。
有給休暇を計画的に与える
基本的な考え方としては、年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えることとされています。
ですが、年次有給休暇のうち5日を除いた残りの日数については、会社があらかじめ決めた日程で消化させることができるのです。この仕組を年次有給休暇の計画的付与と言います。
例えば、有給休暇の日数が10日の社員であれば5日、20日の社員であれば15日を計画的付与の対象とすることができます。
有給休暇の計画的付与の利用例
さてこの年次有給休暇の計画的付与をどのように活用するかと言うと、次のよういくつかのパターンがあります。
詳しくは岡山労働局のホームページにありましたので、よろしければご参照ください。
夏休みや年末年始の休暇として利用する
夏休みを与える際に、土日などの休日と夏季休暇として与える日(例では13日から15日)とに挟まれている日(16日から17日)を有給休暇の計画的付与として与える。
飛び石連休を埋めて3連休、4連休とする
例にあるように火曜日が祝日に当る場合に、日曜日と火曜日が休日となります。その間に挟まれている月曜日を有給休暇の計画的付与として与えます。
誕生日や結婚記念日などのアニバーサリー休暇として活用する
社員の誕生日が5日の場合に、誕生日を含む前後の日をアニバーサリー休日として与えます。このアニバーサリー休日を有給休暇の計画的付与として利用します。
閑散期に活用する
隔週土曜日が勤務日となっているが、2月は閑散期のため休んでも問題がないなどの場合に、本来なら出勤日である土曜日を有給休暇の計画的付与として活用します。
まとめ
このように年次有給休暇を効率的に利用することによって、有給休暇の消化率をあげることができるのです。もっと言うと普段使われることのない有給休暇が溜まって、退職時にまとめて利用されないようにこまめに消化することができるようになります。
ただし、年次有給休暇の計画的付与を実施するためには、就業規則の整備や労使協定が必要となります。
ふだん経営者に嫌われている年次有給休暇も、上手に活用することによって効率的に運用することができるようになります。