会社の経営状況や経済動向によって、これまでの労働条件を見直す機会が生じることがあります。例えば他社と合併したら労働時間がそれぞれ違っていた、給与水準が違っていたとか。
このような際に、それでは来月から労働時間を変えますというのでは、ちょっと問題となる可能性があります。
これまで労働時間が7時間だったのが8時間になるというのは、労働条件の不利益変更となるからです。
労働条件の不利益変更となる場合には、労働者の同意が必要となります。
そのため同意も得ずに労働時間を延ばすことは、後から訴訟などを起こされるリスクがあるということになります。
このことは法律にも定められているため、同意を得る手続きが面倒だからと言って避けることはできません。
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。(労働契約法第8条)
そのため、なぜ労働時間を変更する必要があるのかを、労働者にきちんと説明をした上で同意を得ることが大切です。
そうは言っても、労働者にとってマイナスとなる条件だけでは、同意を得ることが難しいこともあるかも知れません。
その際には同意が得られるまで根気よく説明を続けたり、代わりにプラスとなる条件を提示するなどの工夫が必要となることもあるでしょう。
他にも労働条件の不利益となる項目は、給料や退職金を下げる場合などあります。
いずれにせよ、訴訟などが起こった場合に対応する時間や費用を考えると、少しの手間を惜しむことのリスクの大きさに気がつくことでしょう。