先日、労働契約法の改正が可決・成立したとのニュースがありました。
詳細についてはニュース等でも解説されていましたが、一応上げておきます。
1.有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
2.有期労働契約の雇止め法理の法制化
3.有期労働契約の不合理な労働条件の禁止
なかでも特に注目するべきなのが、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、本人が希望すれば企業に無期雇用契約へ転換することを義務付けるというものです。
これは最近になって非正規雇用労働者が増えていることを受けて、その待遇改善を目指した法改正なのでしょう。
その趣旨はもちろん理解できますが、その裏で企業の雇用調整の弾力化を拒む改正となっているようです。周り回って国内の雇用の空洞化などマクロ的な話は他の専門家に任せるとして、今回の法改正の背景を考えてみたいと思います。
そもそもどうして法改正がされたのかというと、それだけ多くの企業で正社員よりパート社員などの有期労働契約社員を増やしてきたことがあるのでしょう。
有期労働契約は更新を繰り返すほどに、更新されることに対する期待が高まります。そのためこれまでも有期労働契約であっても正社員などを解雇する場合と同様に、雇止めに対して正当な理由が認められなければ解雇権の濫用とされ、雇止めが無効となる可能性がありました。但し、曖昧さも残っていました。
労働契約法では次のように定められています。
解雇は、客観的合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労働契約法第16条)
確かに有期労働契約は更新が無ければそこで労働契約も終了となるため、安心して働くことが出来ないと言えるかも知れません。
その根底には日本の場合は、正社員をひとたび雇用をすると簡単に解雇をすることが出来ないため、有期労働契約という形を取ることによって労働力の調整が出来ることが本来の有期労働契約の目的としてあったのでしょう。
ですが本当に労働力が必要となってもリスクヘッジのために、そのまま有期労働契約社員として雇い続けた点がことの発端となっているとも言えるでしょう。
いち社員を労働力の調整方法のひとつとして捉えるのではなく、会社を成長させるためのパートナーとして雇用することへの決意が足りないため、いわゆる日本的な曖昧さの中で決断してこなかったことが今回の法改正のように、周り回って自分達の首を締める結果につながっているという点もあるのかも知れません。