このご時世、企業を取り巻く環境も次々と変化します。
企業もこの変化に対応するために、労働時間や賃金などの労働条件を変更する機会も出てくることがあるでしょう。
それでは採用当時の労働条件を変える場合には、どのような手続きが必要となるのでしょうか。
リーマンショック以降、業績がよろしくないだとか、原発事故によって労働時間を変更しなければならないなど、様々な理由によって従業員の労働条件を変更する必要が生じることもあるでしょう。
昨今では未払い残業代の請求を見据えて定額残業代などの設定あたりでしょうか。
いずれにせよ従業員にとって労働条件を有利に変更するのであれば、後から文句を言われるようなことも無いでしょうから、それほど注意も必要ないものと思われます。
ですが、従業員にとって不利益となるような労働条件の変更の場合は少々注意が必要でしょう。後から文句を言われてもかないません。
ここで大切になるのが従業員から同意を得るということです。
そもそも労働契約は、労働することによって賃金を受け取ることを労使双方において合意することで成立します。
そのためその際には労働条件について合意ができていることが前提となります。その前提となる労働条件が変更される訳ですから、改めて合意が必要なのは当然でしょう。法律においても次のように定められています。
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる(労働契約法第8条)
従業員数が多い場合は、一人ひとりから同意を得るのは面倒かも知れませんが、ここで手を抜くと意味がありませんので一人ひとりから同意を得るようにしましょう。
さらに同意を得たという証拠を残すために書面でサインをもらうようにしましょう。
ここで注意ですが、変更することを説明した際に特に質問や反対意見が出ないからといって、それが同意をしているともかぎりません。
さらにいくら同意書へにサインをもらっているからといっても、その過程においてサインすることを強要しているのであれば、その効力は無いものと判断される可能性が高くなります。