前回いろいろ問題のある社員を辞めさせることができるかという内容で書きましたが、お金を支払って辞めてもらいましょうという内容でしたので、今回はなるべくお金を支払わずに辞めてもらう方法について書いていきたと思います。
辞めてもらう場合の考え方はお金を払って辞めてもらう、あるいは手間をかけて辞めてもらうかのうちのどちらかです。辞めさせる社員にお金を払いたくないというのであれば、手間をかけるしかありません。
それも嫌だ、というのであれば後で不当解雇と訴えられないように祈りながら辞めてもらうしかありません。
さて、それではどうすればいいのかというと、まずは問題点をはっきりさせる必要があります。例えば遅刻を繰り返す社員がいるとすると遅刻したことに対して、そもそも会社が何も言わなければ始まりません。
月に5、6回遅刻しているからといって、いきなり解雇しても当然ながら不当解雇と言われるだけです。
そのため遅刻をする都度、口頭で注意、書面による注意、警告書といった具合に書面で指導をした記録を残すようにしていきます。もちろん就業規則の懲戒処分に従って徐々にその処分を重くしていきます。少なくとも一定の期間はこの状況で様子を見ながら、指導を積み重ねる必要があるでしょう。
それでも態度を改めないようであれば、まずは退職勧奨をするようにしましょう。退職勧奨とは、解雇とは異なり会社が労働契約の解約を申し出、それに対して労働者が合意をすることによって成立します。合意解約ですから解雇予告手当も発生しません。
退職勧奨の際には、会社が求めるルールに対して本人がそれをいかに順守できていないかを、これまでの記録から客観的に示した上で、それに対してどのように思うのかを考えさせましょう。
少なくとも本人に自覚があるのであれば、退職勧奨を受けることも納得がいくものと思われます。その際には、感情論に走らず事実のみを伝え退職強要にならないようにすることが大切です。
もし退職勧奨を受け入れないのであれば、普通解雇としましょう。ただし解雇の場合は解雇予告手当の支払いは必要となるので注意が必要です。
残念ながら普通解雇となった場合には不当解雇と訴えられる可能性は残りますが、これまでのプロセスを経て教育指導の実績を積み重ねているのであれば、解雇も止むなしと判断される可能性も高くなるでしょう。