就業規則をなかなか作らない会社に、その理由を聞いてみると作っても意味が無いということを言われることがあります。
そこで今回は、就業規則が無いとできないことについて書いてみたいと思います。
まずは就業規則が無い場合は、残業をさせることができません。ご存知だったでしょうか。そもそも労働基準法においては労働時間が決められており、その時間を超えて働かせることはできないとされています。
使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。(労働基準法第32条2項)
いやうちの会社は就業規則が無いけれど残業させているよ、という会社。これは法律違反に当たります。ちなみに罰則もあります。6か月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
時間外労使協定(サブロク協定)を労働基準監督署に届け出れば大丈夫だと聞いたことがあるかも知れませんが、これは先程の罰則を免除してもらうために必要であって、時間外労使協定があるからと言って残業させることができるわけではありません。
そのため社員に残業をさせようというのであれば、就業規則に残業を命じることがある、と書いておかなければなりません。
就業規則が無いとできないことの2つめは、転勤させることができません。転勤については労働契約上の配転命令権の根拠が必要となります。これが無いと使用者の権利の濫用と言われても仕方がありません。そのため、この根拠となるのが就業規則に転勤させることがあると記載してあることが必要です。
そして最後に就業規則が無いとできないことは、懲戒処分ができないということです。
懲戒解雇はともかく、何度言っても遅刻してくるなど会社のルールを守らない社員に対して制裁をするためには就業規則その制裁を行う理由を明示しておく必要があります。
懲戒処分というのは、あくまでも社員を教育的指導をしていくための手段ですから、社長の気に食わないからという理由ではできませんし、社員としてもどんな時に、懲戒処分を受けるのかが判るようにしておく必要があるでしょう。
このように就業規則が無ければできないことがあります。そのため社員数に関わらず就業規則を作ることをお勧めしているのです。