経営者の方の嫌いなもののひとつに有給休暇制度があるかと思います。
少ない人数で働いているのに休まれては困るとか、退職する際にまとめて請求されたら困るということも確かにあるでしょう。しかもこれは就業規則に定める必要があるとされている制度なので、社員に見られないようにしている場合もあるかも知れません。
法律的には有給休暇は入社半年後に10日与えるとされています。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。(労働基準法第39条)
このように厄介者と見られがちな有給休暇ですが、中には勘違いをされているケースもあるようですので、有給休暇のルールについてまとめておきたいと思います。
まずは、就業規則に定めていなければ有給休暇は与えなくても問題がない、というケース。残念ながら就業規則の規定に定めがない場合であっても、その内容が労働基準法を下回る時は、労働基準法の内容が優先されるとされています。
次に、社員が10人に満たないので就業規則もないため有給休暇を与えない、というケース。これも就業規則がない場合であっても有給休暇を与えなければなりません。
最後に、アルバイトやパート社員なので有給休暇を与えない、というケース。これについても6箇月以上働くようであれば、たとえアルバイトやパート社員であっても有給休暇を与えなければなりません。もっとも出勤日数に応じて取得日数を減らして与えればよい比例付与となるケースもあります。
たとえ就業規則を社員に見せないようにしていても、今はインターネットなどで簡単に情報を取得することができます。経営者としては、有給休暇は社員に取らせるものという気持ちを切り替えた上で、どのように取らせれば業務に支障がないかを考える方が賢明かも知れません。